ハワイ報告 W

6月22日(木) ハワイ島3日目

いままでの2日間は、いわゆる何もしないのんびりとした贅沢な時間を過ごすことができたけど、
今日と明日はハワイ島ならではのアクティビティを充実させることに重きを置きました。

朝食

今日の予定は「海と星」

まずは水着を準備してお気に入りのビーチに向かいました。
ハワイ島第一の街、コナの中心街を抜けて20分南下すると〈カハルウ・ビーチ〉があります。
1990年に初めて私がハワイ島を訪れた時に、シュノーケルに最適なビーチを
ホテルのフロントのおばちゃんに教えてもらった場所です。

カハルウ・ビーチ
カハルウ・ビーチ
カハルウ・ビーチ

当時は周辺に目立ったホテルもなく人影もまばらで穴場のビーチでしたが、
目ざとい人間が放っておくはずはありません。
ここ数年の間に開発が進んで、辺りにはゴージャズなホテルやレストランが建ち、
大勢の海水浴客で賑わう人気のビーチとなってしまいました。

人気になりすぎたのはいささか残念に思いますが、透明度が高く、
海がめと戯れることの出来る美しいビーチに変わりはありません。
みんなが海に入って楽しんでいる様子を横目に私は日光浴をしました。
私は風邪の最後のあがきである「咳」が出ていたので、海には入りませんでした。
実はこの「咳」が後ほど大変な事件になってしまうのです。

アリィドライブ
アリィドライブ

コナの街をゆっくりと散歩しました。
「アリィドライブ」と呼ばれる海沿いの道路を中心に街並みはつづいています。
カメラをぶら下げた観光客、海に遊ぶ子供たち、
バニヤンの大きな木の下で昼寝をしているおじさん。
さすがにここまで来ると日本人の姿はほとんど見当たりません。
どうやら女性陣はお土産などの買い物に熱中している様子。
私が毎月出演している荻窪のライブハウス〈ルースター〉のハワイ島支店?を発見!
どうやらここも夜はライブジャズを演っているようだ。

ルースターのハワイ島支店?
ルースターのハワイ島支店?
ルースターのハワイ島支店?

コナの街の散歩を終えてホテルに戻り、今日のもう一つの目的である、
というかこの旅行で最も楽しみにしていた「星」を見に行く準備をしました。

ハワイ島はおおよそ四国の半分の大きさがあります。
この島にある2つの大きな山がマウナケアとマウナロア。
マウナロアにいたっては体積が世界で一番大きな山だそうです。
どちらも富士山より高く、標高は4.000メートルを超えます。
私たちが「星空観測」に赴く山は、ハワイ最高峰のマウナケア山(4.200m)です。
この山は世界有数の天体観測に適した環境と気象条件を満たしているため、
頂上には世界各国の天文台が並んでいます。
写真を見るとまるでマッシュルームのようです。
日本が世界に誇る「すばる望遠鏡」もここにあります。
先ほど「天文観測に適した環境」と述べましたが、
このマウナケア山頂付近は晴天率が極めて高いそうです。
なるほど、晴れていなければ、いくら精度の高い望遠鏡があったとしても
星を見ることはできませんね。
そして望遠鏡などの大きな機材を天文台に運び入れるためには、
山頂までの交通手段がスムーズでなければなりません。
その点このマウナケア山は、山頂までお椀を伏せたようになだらかなで、
急な上り坂がほとんどありません。
そのような理由で、このマウナケア山に世界中から
天文観測のエキスパートが集まるのです。

私たちはこの山の中腹にある標高2,800mの
「オニヅカ・ビジター・センター」で星空観察を行うことにしました。
ここから頂上までは非舗装道路なので、ジープのような四輪駆動車でなければ
行くことが出来ませんし、第一、規則で一般の人の夜間立ち入りは禁止されています。
昼間に天文台見学などで頂上に行くとしても、空気が薄いために、
このオニヅカ・ビジター・センターで1時間以上の休息が義務付けられているほか、
妊婦や体調不良、また24時間以内にスキューバ・ダイビングをした人は
行くことが出来ない、という厳しい規則があるのです。
そうです、山を甘く見てはいけないのです。

目的地は山の中腹とはいえ、そこは標高2.800m。
下界の30度を越す気温に慣れて、Tシャツやアロハ姿の私たちですが、
日本からこのために用意したジャンパーやオーバーを携帯していざ出発!

マウナケア山
マウナケア山
マウナケア山

車は舗装の行き届いた道をひたすら大きなマウナケア山に向かいますが、
途中から難所と言われる「サドルロード」に入ります。
この「サドルロード」はその昔、ハワイ島の東西を結ぶ道路として建設されましたが、
標高の高い山道のために整備も行き届かず、
海沿いの道が充実したためにこの道路の交通量は激減し、
途中に町どころか、行き交う車もほとんどない道路となっていて、
現在でも保険適応外の道路として指定しているレンタカー会社があるくらいです。

予想した通り、この「サドルロード」に入ったとたん、様相は一変しました。
道幅は狭くなり、道路の端は土が剥き出しになっています。
行き交う車もほとんど無く、両サイドには牧場が広がっています。
道はまっすぐに見えても実は上り下りがかなり激しく、
スピードを上げるとまるでジェットコースターに乗っているようです。
しばらく進んで、アメリカ航空基地を過ぎて、目だった標識もないT字路を左へ入ると、
そこはマウナケア山頂に続く道の入り口です。
ここからは舗装はされているものの、いきなり急坂になり、
ギアーをローに入れなければ登れません。
車の周りは一面真っ白になりました。
そうです、雲の中を走り抜けているのです。
持ち込んだポテトチップスの袋が、今にも破裂しそうにパンパンに膨らんでいることで、
かなり標高の高いところまで来たことが解かります。

雲海を通り抜けると何やら建物が。。。
そうです、夕方5時、ようやく「オニヅカ・ビジター・センター」に到着しました。
そこにはすでに何台もの車が来ていました。

うぉ〜さぶい!!
気温はおそらく10度を下回っているでしょう。
早速、持ってきたジャンパーやオーバーコートを着る。
この小ぢんまりした「オニヅカ・ビジター・センター」館内には、
山頂にある天文台のことや、天体に関する資料が所狭しと展示されているほか、
それに関連する映画も上映されていました。
また、表に出ると大きな望遠鏡が2、3台並べてあって、
夜になるとそれで狙った星座をみんなに見せるそうです。

そうこうしているうちにサンセットの時間となりました。
この場所は山影になっていますので、近くの小高い山高山植物の間を縫うように登って、
マウナケア中腹からの夕日を眺めることにしました。

マウナケア中腹からの夕日
マウナケア中腹からの夕日
高山植物

登るのはかなりきつくて疲れましたが、言葉も出ないほど見事なサンセットです。
美しい夕日の左手には、世界一大きなマウナロア山が、
そのなだらかで雄大な姿を私たちの前に惜しみなくさらしています。

日が沈み、「オニヅカ・ビジター・センター」に戻ると、
あっという間に辺りは闇に覆われます。
いよいよ楽しみにしていた「天体ショー」の開幕です。
この建物は星空観測の邪魔にならないようにと、
すべての明かりは薄暗い赤色等になっています。
暗くなるのに反比例して、星はその姿を徐々に見せ始めました。

「ウォーッ!!なんじゃこれは!!」
UZ君が思わず感嘆の叫びを上げるのもうなずけます。
何千、何万、何十万、何百万?一体いくつあるんだろう。。。
かつて見たことも無いほどの星の数とその美しさ。
目の高さより低い位置にまでたくさんの星があります。
オリオン座に北斗七星や小熊座、はたまた南十字星まで。
望遠鏡を覗けば「これはギャラクシー(銀河)でこれがジュピター(木星)です」と説明してくれる。
しかし私はあまりの壮大さに、星の名前などどうでもよくなった。
まさに畏怖の念を覚えるこの星空に感激しておもわず涙が溢れました。
この宇宙がビックバンなどで自然に出来たはずはありえません。
もしそうであったなら、この天体をネジを巻いて規則正しく動かしているのは誰でしょう?
これは計り知れない知恵の源があるからに他ならないのです。
これら全てを創り、星の一つ一つをそれぞれの名前を付けているという
神を心から褒め称えたいと思いました。

考えてみれば、このハワイ島の真っ暗な場所なら
どこでも素晴らしい星空観測が出来るに違いありません。
何億光年隔てた果てしない宇宙の星からの距離を、たった2.800m登っても
それはほとんど変わらない訳ですから。(笑)

感動的な体験を終えて、家路ならぬホテルへと
悪路を注意深く走行して、無事に帰り着きました。

明日はいよいよハワイ島一周のドライブです。

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6月23日(金) ハワイ島 4日目

ハワイに来てからというもの連日早起きで、今朝も6時過ぎには目が覚めました。
ハワイ島滞在最終日の今日は、楽しみにしていた島一週のドライブの日です。

炒飯

みんなが寝ている間に、昨日の残りのご飯がたくさんあったので、
これを炒飯にして昼食となる弁当を作ることにしました。
朝8時を過ぎた頃、いよいよ出発! 今日も快晴です。

前に述べたとおり、このハワイ島は四国のおよそ半分の大きさがありますので、
島をくまなく一周するには、それなりの時間を計算する必要がありました。
またマウナケアとマウナロアの大きな山を隔てた島の西と東では、気候が大きく異なります。
強い貿易風がこの二つの高い山によってさえぎられるために、東部の地域は雨が多く、
反対に山の西側にあたる地域は乾燥した好天がつづくという訳です。

実は昨年、島を一周した時には、南東部にあるキラウエア火山の一体は大雨で、
見学することが出来ませんでした。
それで今年は好天を祈って、昨年と反対の左周りで出発しました。

コナの街を通り過ぎてどんどん南下すると道幅は急に狭くなります。
一昨日予約してあった「パッションフルーツ」を求めて
〈サウス・コナ・フルーツショップ〉に立ち寄ると、
およそ20個のパッションフルーツをキープしておいてくれて、
UZ君はそれを買い求めて大喜びでした。

私たち一行はそのまま車を南に走らせることおよそ10分。
すると間もなく、沿道でフルーツを売っている光景が目に飛び込んできました。
気になったので車を停めて近づくと、そこにはテーブルにフルーツが山積みされていて、
小さな男の子が一人で売っていました。
「ここの自分の家の裏庭でさっき採ってきた」と話してくれました。
きっと自分のお小遣い稼ぎのためにこのようにしているに違いありません。
「いくら?」と値段を聞いて驚きました。
先ほどのお店で「このパイナップルは特別な種類で最高級品なので16ドル」
と言われたその同じパイナップルが、何と1ドル50セント。
パッションフルーツにいたっては「笑えばくれる」ほど安かったのです。
私たちはそれらのフルーツのほかにオレンジなども買い込みました。
あまりの少年の無邪気な商売と笑顔に敬意を表して、
かなり多めの5ドルをあげたら大喜びでした。

サウス・コナ・フルーツショップ
フルーツ売りの男の子
MAMALAHOA HWY
サウス・コナ・フルーツショップ
フルーツ売りの男の子
MAMALAHOA HWY

車は島の最南端、つまりアメリカで一番南に位置する町を通り抜け、進路を北東に向けます。
そこから20分ほど行って少し右に入ったところに、
長い年月をかけて溶岩が波に洗われて砕けて出来た、
文字通り真っ黒な〈プナルウ黒砂海岸〉があります。

プナルウ黒砂海岸

たくさんの海亀の姿も波打ち際からしっかり観察することが出来ました。
ほとんど観光地化されていないローカルなこの海岸で、
持ってきたお弁当を出してランチタイム。
あまりの雄大な美しさの風景のためか、皆一言も話さずに、
海を見ながらもくもくと食べていました。(笑)

海を見ながら昼食
海を見ながら昼食
海を見ながら昼食
波打ち際を散策
波打ち際を散策
波打ち際を散策

ランチを済ませて車を進ませていると、あたりの様子が一変してきました。
道路の両側は比較的新しい真っ黒な溶岩台地が広がっているのです。
そうです、現在でも噴火活動が活発に続いている〈キラウエア火山〉が近いのです。

溶岩台地の上に茂った林を抜けると、そこには〈キラウエア公園ビジターセンター〉があります。
祈りが通じてか、昨年の大雨の時とは大違いで晴天に恵まれました。
テレビなどで見かける、溶岩が真っ赤に流れて燃えているシーンは、
残念ながらヘリコプターのツアーなどでしか観察することは出来ません。
徒歩での見学だと、噴火しているわりとそばまで行くことが出来るそうですが、
それだけで半日くらいかかるそうです。
以前に、徒歩でのツアーを案内するガイドが、
溶岩の薄いところを踏み抜いて亡くなったと聞きました。(ゾ〜〜)
時間と勇気の?関係で、わたしたちは車でキラウエア火山の
クレーター一周のドライブと決め込みました。

キラウエア火山
STEAM VENTS
キラウエア火山
STEAM VENTS

国立公園になっているので、整備の整った見学コースが出来ています。
そこかしこに「Vent」と呼ばれる蒸気の噴出し口があって、蒸気に手をやるとものすごく熱く、
確かにこの下で火山は活動しているのだと実感することが出来ました。
車で回るほど広大なキラウエアの旧火口のクレーターに呆然としました。

クレーター
クレーターとギタリスト
見学コース
クレーター
クレーターとギタリスト
見学コース

感動的なキラウエア火口を後にして、
ハワイ島第二の都市である「ヒロ」に向かって北上しました。

道幅が広くなって交通量も増してくると、ヒロの街が近いことを察することが出来ます。
どこか懐かしいが雰囲気漂うこの街は日系人が多いので有名です。

そんな日系人のアイディアで誕生したと言われるハワイアン・フードの「ロコモコ」は、
白いご飯の上にハンバーグと目玉焼きが乗っていて、たっぷりのグレービーソースがかかっています。
それをぐちゃぐちゃにかき混ぜて食べるのがロコ風だとか。

100CAFE
ロコモコ
100CAFE
ロコモコ

小腹が空いたところで、ヒロで一番人気のロコ・フードの店〈100CAFE〉に立ち寄って、
噂のロコモコをいただきました。
実は去年もここに来ましたが、今回注文したシンプルな〈ロコモコ〉が美味しく感じました。
値段も激安で、確か2〜3ドルくらいだったような気がします。

半円を描く美しいヒロ湾を右に見て、ヒロの街を後にしました。
ここで私たちは食後のデザートならぬ、ジュースと決め込むことにしました。

猫

およそ2、30分進んで右折して森の小路を通り抜けると、
そこにはガイドブックでも紹介されている〈What’s Shakin’〉というお店があります。
果物100パーセントのジュースを氷でシェイクした「スムージー」が人気だそうで、
早速私たちも注文してみました。

What’s Shakin’
What’s Shakin’の店内
What’s Shakin’の店内
What’s Shakin’
What’s Shakin’の店内
What’s Shakin’の店内
パイナップル
マンゴー
バナナ
パイナップル
マンゴー
バナナ

「パパイヤとパイナップルにココナッツのスムージー」とか、
「マンゴーとバナナとオレンジのスムージー」などなど。
とても美味しいのだけど、ドロっとしていてまあ濃いのなんのって。
その量の多さも半端ではなく、みんな半分くらい飲んでおなかが一杯になりました。

ドライブ
街
Akaka Falls
滝の標識
Kahuna Falls
Akaka Falls
滝の標識
Kahuna Falls
Akaka Falls
Akaka Falls State Parks
Akaka Falls State Parks
Akaka Falls
Akaka Falls State Parks
Akaka Falls State Parks

再び車を飛ばして海沿いの道を快適にドライブ。
途中にローカルな街をいくつも通り過ぎましたが、
ハワイ島の東北に位置する「ホノカア」の街に立ち寄ることにしました。
どこか懐かしくて観光地化されていません。

建物の路地の間からは海が見えて、猫がゆっくりと道を横断しています。
私はこの街のように何気ない雰囲気を醸し出している光景が大好きです。
この街で気に入ったアロハでもあれば買おうと思いました。
日系人のおばちゃんが経営しているひなびたお店にあるにはありましたが、
サイズが大き過ぎました。

オーダーすれば日本に送ると言ってましたが、この手作りのアロハは値段が120ドルで、
郵送にさらに40ドルかかるので160ドルはいささか予算オーバー。
でも素敵なデザインと手作りならではの質感に、後ろ髪を引かれる思いでした。

猫
立ち寄ったお店
立ち寄ったお店

さてホノカアの街を後にすると、このハワイ島一周ドライブもいよいよ終盤です。
個人所有の牧場としては世界最大という「パーカー牧場」のある
ハワイ島第三の都市ワイメアの街を通り過ぎて山道に入ります。
昨夜、あの感動的な星空を観察したマウナケア山のなだらかな斜面を、
夕陽の海に向かってまるで滑り降りるように私たちのホテルのある
ワイコロアに無事帰り着きました。

部屋でしばしくつろいだ後、夕食のためにカワイハエの街まで車を飛ばしました。
ハワイ島最後の夕食はゴージャズにレストランでいただくことにしたのです。
以前から気になっていたシーフード・レストランの〈ハーバー・グリル〉に行きたかったのです。

このお店は港に面していて、本格的なシーフードを創作料理で楽しませるというもっぱらの評判で、
その噂通り、大勢の客で賑わいを見せていました。
考えてみればハワイ島は周りが海ですから、魚介類は美味しいはずです。
小振りだけど味の濃い〈生牡蠣のカクテル〉をツマミに注文して
白ワインをいただきました。
キャベツが添えてあるマグロの刺身など、日本料理にヒントを得たメニューも豊富でしたが、
海老のココナッツミルク煮は甘すぎていただけませんでした。

ゆっくりと夕食を楽しんでから、一昨日約束したヒルトン・ホテルに行きました。
そう、アジュア・マッコールとの共演が待っているのです。

アジュア・マッコールとの共演
宮之上貴昭、デヴィット・スワンソン
宮之上貴昭

到着すると彼女は約束を覚えていて、私たちの席を用意してくれていました。
早速ギターを出して久しぶりの共演となりました。
アジュアのボーカルはまさに黒人特有のグルーヴ感に溢れています。
デヴィット・スワンソンのピアノは相変わらずスイングしているし、
ヒロでミュージック・コーディネーターの仕事をしているという、
黒人のおじさんの歌も、なかなか味わい深いものがありました。

ヒロのミュージック・コーディネーター

かくしてハワイ島滞在の最終日は、極めて充実した長い一日となりました。

いよいよ明日からはホノルルのあるオアフ島に戻って私のコンサートです。

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